世界的にも有名なモータースポーツ、フォーミュラワン(Formula One)
正式名称は「Formula 1 World Championship xxxx」(”xxxx”はその年の西暦が入る)
一般的にはF1(エフワン)と呼ばれ、その名前を知っている方も多いはず。
ですが、近年の日本では地上波でのテレビ放送が無くなってしまい、無料でレースを見ることができなくなってしまいました。以前はフジテレビ系列の地上波でも深夜放送があったんですけどね・・・。
とても面白いF1の人気が低迷してきている背景には、
ルールがわからないから楽しめない、という方もいるのではないでしょうか。
モータースポーツ初心者の方や、車や機械が苦手な女性のかたにも少しでもお役にたてられたらと思い、いろいろ書いてみました。もしよければどうぞ読んでみてください。
今回は「F1レース決勝日の1日の流れについて」です。
現在のF1は1シーズン(1年)でのレース数は20回ぐらいで、1回のレース時間は約2時間ほど。
開催地は世界各国であり、日本で開催するレースは「日本GP(グランプリ)」と呼ばれています。
決勝当日の1日の大まかなスケジュールは、
- レーススタート前にコース上で準備
- 準備完了後、フォーメーションラップでコースを1周
- スタート位置に到着
- レーススタート
- 50周以上走り、ゴールフィニッシュ
- 表彰式(上位3名、表彰台へ)
- 世界各国のメディア対応
という感じです。
フォーメーションラップ
F1には『フォーメーションラップ』といって、スタート前にコースを1周するルールがあります。
これはきちんとスタート位置(スターティンググリッド)に車を到着させるためにするもので、フォーメーションラップ中の車はくねくねと蛇行運転して走ります。
ちなみにこの蛇行運転はタイヤのゴムを温める効果があるのですが、タイヤは、温度が上がると柔らかく、しなやかになり、コーナー(カーブ)を曲がりやすくなります。
また、フォーメーションラップ中の追い越しは禁止されており、前後の車との間隔が開きすぎないように走ります。トラブルなどの理由のためゆっくりとスロー走行している車の追い越しは認められています。
スタート合図(シグナル)
各マシン(車)はスタート位置(スターティンググリッド)に到着してからコース中央の上にある赤色の信号(シグナル)を見てスタートします。
スタート合図(シグナル)は1秒ごとに1つずつ赤い信号が点灯し、5つの信号が点灯した後、全ての信号が同時に消えて、それがレーススタートの合図です。
信号が消える前に、車が発進した場合はフライング、ジャンプスタートとなりペナルティ(罰則)を受ける可能性があります。
どんなに上手いドライバーでも操作ミスをすることもありますし、マシントラブルで上手くスタートできない時もあります。予選で良い順位を獲得しても、スタートの出来次第で決勝レースはどうなるかはわかりません。
レーススタートから各マシンの動きには注目です。
決勝レーススタート
レース開始直後の第1コーナー(曲がり角)は決勝レースの見どころのひとつです。
スタート直後は約20台の車が同時にコーナー(カーブ)に突っ込んでいくので、車の接触、コースオフや順位の変動がよく起こります。
接触したことで車のパーツ(部品)が壊れたり、タイヤがパンクしたりするとスロー走行になったり、車が動けない状態になればレースを棄権(リタイア)する場合もあります。
車の接触を恐れて慎重になりすぎず、攻めの姿勢でライバルたちを追い抜かなければならない状況というのは、見ていてとてもスリルがあり楽しめると思います。
レース中のドライバー
レース中、運転しているドライバー(選手)はひとりで黙々と走っているわけではありません。
車の運転中でもチーム監督やエンジニア(技術者)と無線でつながっていて会話をすることができます。作戦や車のコンディション、コース路面の状態、天気、タイヤ交換、他のドライバーの状況など色々なことが話されています。
この無線の一部はテレビ中継でも流れる場合があり、ライバルチームが聞くこともありますので、ドライバーはつらい状況だったっとしても「まだ平気さ」などとハッタリをかけることもあります。
また、約2時間走り続けている選手は車に積んである飲み物で水分補給もできます。熱い道路の上に長時間いれば熱中症や脱水症状になることも考えられますからね。
オーバーテイク(追越し)
やはりF1レースといえばオーバーテイク(追越し)が一番の魅力だと思います。
長い直線での追い抜きや、コーナーを曲がっているときに内側から入っていっての追越しなど、順位争いで白熱するオーバーテイク。当たってしまいそうなくらい近づいていったりと、観ていてハラハラドキドキさせてくれます。
F1はすべてのチームが同じ車で走っている訳ではありません。
細かなレギュレーション(ルール)があり、それに合わせて各チームが独自で開発をしています。使用エンジンもチームによってちがうため、各チーム車の速さが違います。
コーナーで抜きにかかったり、直線を走っているときに挑んでいったりと各マシンの長所が活きる戦いがあります。
以前、チーム「フォース・インディア」のマシンは直線スピードが速かったため『直線番長』とテレビ実況の人は言っていました。でも本当に速くて、ライバルチームはなかなか抜きかねていて、とてもかっこいい印象があります。
タイヤ交換(ピットイン)
F1のレギュレーション(ルール)には「使用するタイヤコンパウンド(種類)は2種類以上」という決まりがあり、レース中に必ずタイヤ交換をしなくてはいけません。
タイヤ交換は「ボックス」「ピットストップ」や「ピットイン」と呼ばれ、各チームのガレージ前にあるピット(整備所)で行います。
サーキットコースごとに違いはありますがピットに入る道(ピットレーン)には速度制限がありますので、1回ピットに入るごとに余分に約20~30秒かかり、ピットに入ればメカニック(車両整備士)が作業をしてくれてます。
最近のタイヤ交換の作業時間は『約3秒』。
最新の機械を駆使して無駄のない最低限の動きで作業をしているのでとても早いです。
ドライバーはコースを走り『0.1秒』『0.01秒』を縮めようとしています。
そんな中で行われるピットストップは時間との戦いなのです。
タイヤ交換には各チーム大事な戦略があり、どのタイヤを使うのかでレース展開が変わっていきます。
タイヤにも硬さ(コンパウンド)の種類があって特徴や性能は簡単にこんな感じです。
<硬いタイヤの場合>
・タイヤ交換直後は熱が入りにくく、すぐに速いスピードが出せない
・熱が入らないとグリップ力(摩擦力)が低めなので曲がりにくい
・耐久性があるので、長い距離を走行しやすい
<柔らかいタイムの場合>
・タイム交換直後に熱を入れやすく、早い段階で速いスピードが出せる
・グリップ力(摩擦力)が高めで曲がりやすい
・耐久性が低いので、傷みやすく摩耗が早いため長い距離を走れない
タイヤ交換せずに性能を使い切ると、タイヤはグリップ力が落ちてコーナーを曲がりにくくなったり、ブレーキで止まりにくくなっていきます。
セーフティーカー
レース中には、大雨、車のトラブル、接触事故などでコース上に車が止まったり部品が飛び散ってしまい安全にレースを行えない状態になる時がありますが、よっぽどのことがないかぎりレースが止まることはありません。
でも止まった車をそのままにしておくわけにはいかないですよね、そこで登場するのがセーフティーカーです。
セーフティーカーがコース上に出動しているときは速度制限や追越し制限があります。車がゆっくり走っている間に、事故車の撤去作業や部品の回収など、レース再開のための作業が行われます。
また、速度制限のせいで早く走れないのでこのタイミングでピットに入り、タイヤを交換してタイムロスを最小限に抑えるチームも現れます。
セーフティーカーの出動タイミングでもレース展開が大きく変わるので要チェックです。
最終周回とゴール
レースのフィナーレです。
残念ながら、ぶっちぎり1位の選手は最後の周回まであまりテレビ画面には映ることがありませんが、最終周回はバッチリ1位を走行している映像がテレビに映ります。
ゴール直後の無線も放送されるので感動で泣いている無線は聞いているこっちまでジーンときてしまい、ヘルメット姿でも泣いている選手の顔が思い浮かびます。
初優勝の場合は喜びも大きいのでしょうね。
ちなみに無線で『P1(ピーワン)』と言っている場合がありますが、意味は『ポジション1』つまり1位のことです。
表彰式
そのレースでの1位2位3位のドライバーは車をパルクフェルメ(車両保管所)にマシンを停めて、体重測定などをしたあと表彰式に向かいます。
表彰台にはレースの上位3人と優勝チームの代表者が1人、計4名が上がります。優勝チームの代表者はチームのお偉いさんの場合が多いですが、優勝回数の多いチームの場合はメカニックが表彰台に上がることもあります。
優勝者、優勝チームの国歌を聞きシャンパンファイトが始まります。宗教的な都合でアルコール類が禁止されている場合は、お酒は使わずに炭酸水などを使用します。
表彰台の後、ドライバーは各国メディアのインタビュー対応をしていき、優勝の喜びや悔しさを伝えていきます。
以上が決勝レースの流れです。
なんとなくでも出来事の流れがわかれば、レースを観たときに何がおきているのかがわかりやすくなると思います。2時間ほどの戦いのなかでは予想できないようなトラブルも起きます。チームの思惑どおりに進まないのがF1レースです。
初心者でも見分けができるおすすめドライバー
初心者でもF1を楽しむためには、まず応援する選手を見つけるのがおすすめです。
F1の世界は狭き門。毎年約10チームが参戦しており、各チームレギュラードライバーは2人で、約20人しかいません。
その中で日本人選手が在籍していることは少ないのですが、過去には小林可夢偉さん、中嶋一貴さん、佐藤琢磨さん達がいました。
現在のF1界には外国人のイケメン選手がたくさんいます。選手はカッコイイだけでなく、年収もかなりのもの。ドライビングスタイルなど様々な点を加味して応援する選手を探してみてはいかがでしょうか。
オススメのドライバー
<所属チームは2018年現在のもの>
- セバスチャン・ベッテル(フェッテル)
所属チーム:フェラーリ
出身国:ドイツ
年間優勝:2010年、2011年、2012年、2013年
特 徴:社交的、人なつっこい、メディア対応が良い、私生活を見せない
世界最年少優勝などの記録を更新してきた。ワールドチャンピオン(年間優勝)を4回経験している。ルイス・ハミルトンとライバル関係に取り上げられることが多い。テレビ映像によく映るのでレース中の動きがわかりやすい。ミハエル・シューマッハの後継者とも言われている。
負けん気が強く、若い印象。過去にはトロ・ロッソ、レッドブルの2つのチームで、チーム初優勝をもたらした。
毎年自分のF1マシンに女性の名前を付ける、2018年はLoria(ローリア)。
発音のちがいのせいか、メディアによってベッテルやフェッテルなど呼び方のちがいがある。
- ルイス・ハミルトン
所属チーム:メルセデス
出身国:イギリス
年間優勝:2008年、2014年、2015年、2017年
特 徴:メディア対応が良い、攻めの姿勢の運転、私生活が派手
2008年に世界最年少優勝の記録を更新した。ワールドチャンピオン(年間優勝)を4回経験している。接触寸前など攻めの姿勢の運転が多く、見ていて面白いがメディアから批判される事も多かった。デビューした2007年に年間成績2位で世界王者に1ポイント差で負けた実力の持ち主。自分のライバルはフェルナンド・アロンソだと語っていた。
私生活をSNSに上げることが多く、ハリウッドスターのように派手な私生活を垣間見ることができる。F1選手でトップの年収だといわれている。
- キミ・ライコネン
所属チーム:フェラーリ
出身国:フィンランド
年間優勝:2007年
特 徴:メディアへの対応が冷たい、冷静なドライビング、ギャップがあり女性人気も高い
北欧フィンランド出身、メディアへのクールな振る舞いと冷静なドライビングスタイルで『アイスマン』のニックネームで呼ばれる。クールな見た目とは対照的に破天荒な行動が多く、お酒好き。2010年に一度F1を引退し、世界ラリー選手権(WRC)に出場していた。チームメイトのベッテルとは良好な関係。F1の政治的な駆け引きには興味がない様子。
面白い名言も多い。『朝はどうやって起きていますか?』との質問に『起きない』と返答したりする。
メディアのインタビューなどには不愛想だが憎めない存在、日本でも非常に人気が高い。サーキットに来ている幼い息子がテレビ画面に映されることもある。
レース中でも熱くなりすぎず、常にフェアな走りをする。どの国でも人気が高い。
- フェルナンド・アロンソ
所属チーム:マクラーレン
出身国:スペイン
年間優勝:2005年、2006年
特 徴:現役最強と称される、政治的な駆け引きもする
2005年当時F1史上最年少でF1ワールドチャンピオンを獲得(24歳と58日)。その強さのため、ミハエル・シューマッハを引退に追い込んだとも言われている。2007年には、チームメイトだったハミルトンとの仲が悪化、チームとの関係もうまくいかない状況になったことがある。決して速くないマシンでも、運転技術のすばらしさで入賞しポイントを獲得することがある。
2018年には中嶋一貴さん(日本)、セバスチャン・ブエミ(スイス)と共にトヨタのチームからル・マンに参戦し優勝した。F1モナコGPの優勝経験があるので、アロンソが目標にしている『世界三大レース(F1モナコGP、インディ500、ル・マン24時間)完全制覇』のうち、2つを達成したこととなった。
『2019年シーズンはF1に参戦しない』と表明しているが、F1完全引退という意味ではなく、また復帰する可能性もあるらしい。
以上、今回オススメしたのはテレビにもよく映る選手たちなので、応援しがいがあるかなと思います。一戦一戦真剣勝負でがんばっている姿はカッコイイ。わくわくどきどきを多くの人にも楽しんでもらいたいです。読んでいただきありがとうございました。